注目トピック
マンション大規模修繕工事の進め方<その3> 着工準備・工事中~完成・新たな維持管理へ
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マンション大規模修繕工事の進め方<その1>理事会と修繕委員会について
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マンション大規模修繕工事の進め方<その2>事例で見る修繕委員会の立ち上げ~施工会社選定
工事説明会、着工準備
工事説明会
大規模修繕工事のスケジュールが決まったら、組合員や居住者に向けた説明会を開きます。コンサルタントや施工会社に同席してもらい、ベランダ・バルコニーの植木鉢の移動先や片づけの期限、洗濯物を干せない制限期間、在宅が必要な工事の時期など居住者が不安に思うことを説明し、質問に答えます。工事説明会を丁寧に行うことで、その後の工事がスムーズに進みます。
なぜ屋上を修繕する必要があるのか?価格は適正か?ほかに方法はないのか?などの質問と回答を全て書面にまとめて配布すると、後日確認することができ、説明会に参加できなかった人も安心です。
気をつけたいのは、居住者から修繕委員へ個別にイレギュラーな相談や問い合わせ・要求を受けた場合です。どんな些細なことでも個人間で対応せず、委員会全体で相談を共有、確認した上で、委員長が公式回答することをルール化すると良いでしょう。堅苦しい、面倒だ、と思われるかもしれません。しかし、質問や相談の記録を残すことで将来同じような質問が発生した時の参考になり、一貫した公平な対応ができるのです。
説明会の後は理事長と施工会社の現場代理人たちが代表で近隣へ挨拶に回り、工事日程などを説明します。
大規模修繕工事開始
現場をパトロール
大規模修繕工事がスタートしたら、修繕委員会はコンサルタントと施工会社の三者による定例会や安全パトロールに参加し、工事の進捗を把握します。この時、理事会からも少なくとも1人は出席することで、修繕委員会と理事会間の情報共有がスムーズになります。定例会の議事録は施工会社が作成することもありますが、議事録を補足する「ニュース・おたより」などで同じ居住者の立場から説明すると、居住者の安心感が増すでしょう。
● Bマンション修繕委員会
議事録やオリジナルの大規模修繕ニュースの作成では委員全員が目を通してチェックし、遅くても次の委員会開催前までに配布しました。議事録を読んだ方々から質問が寄せられたらコンサルタントや施工会社に尋ね、分かりやすく説明してもらいます。回答は質問者にだけでなく居住者全員に伝えるため”臨時ニュース”も配布しました。
大規模修繕工事完了・引渡し
工事が無事に終わり竣工検査(工事完了後の最終的な検査)の後、大規模修繕工事の内容を記録した施工図書とともに引渡しを受け、精算します。
新たな維持管理へ
修繕委員会の様子
最後に、大規模修繕工事の成果を反映して長期修繕計画を見直し、更新しましょう。この作業もコンサルタントのサポートを受けて進めます。当初に契約したコンサルティング業務の範囲に含まれていなければ、追加で依頼すると良いでしょう。
修繕委員会の活動は、発足当初から完了までを記録しておくと、次の大規模修繕工事の際の貴重な資料になります。居住者に配布した議事録や補足のニュース・おたよりと一緒に保管しましょう。現在では紙での保管ではなく修繕履歴管理システムの「マンションみらいネット」や「Mcloud(エムクラウド)」などの電子システムも活用されています。これらを利用すれば、データ管理・情報の引継ぎが容易になります。
長期修繕計画を更新し理事会に報告したら、修繕委員会の活動は一区切りです。お疲れさまでした。
まとめ
修繕委員は、委員会内にとどまらず外部の人とも密にコミュニケーションを取る立場から、時には意見が対立するなどして気苦労の絶えない役回りです。その一方で、委員を務めた結果、マンションや地域に愛着がわき、組合員とのコミュニケーションを通じて顔見知りが増え、末永く付き合える仲間ができるなど思わぬ〝いいこと〟に発展することもあります。
今年は忙しくて委員を務められない方も、来年なら可能かもしれません。修繕委員会の活動に関心を持ちつづけ、住み良いマンションを維持管理するために是非とも皆で力をあわせて大規模修繕工事を成功させましょう。
ヨコソーの大規模修繕工事は、定例会の運営や議事録の作成などをサポートし、理事会・修繕委員会の皆さまとともに大規模修繕工事を進めて参ります。工事期間中の暮らしになるべくご負担をかけないようにするための工事計画と、永く安全・安心に暮らしていただくための工事品質を大切にしています。工事期間中は日々の生活にどうしても支障が出ることや、居住者様にご協力いただく場面もあります。その中でも精一杯、ご理解いただくこと、また、工事後にご満足を得ていただけるよう工事をおこなってまいります。大規模修繕工事をご検討の際は、ヨコソーも候補企業の一つとしてぜひご指名ください。